松下幸之助さんが40年余り前に唱えられていた『無税国家』を知る人はどのくらいおられるだろうか。
当時の定期預金の金利は5.5%。
(国が1000兆円のお金を貯め、その金利55兆円で 国家経営をおこなう壮大な構想 今や、国の借金が900兆円以上、まったくその逆となった。)
やろうと思えばやれた時代であっただろう。
国家経営者の思考で、国家が国民に対して安全・安心・安定の保障をし、国民が国家に対する義務を果たすという原点を忘れ、哲理に欠けた思想の延長が今日の状況と考える。
現在は、定期金利0.01%以下。
生み出された富を温め育てていく、という視点で国家経営をすることは難しく、『ゼロ…いやマイナスから新しい富を生み出して行く』という前提に立ち戻らなくてはならなくなった。
ひとえに政治というカラクリが単年度志向であり、『温め育てていく』というより、『目先の消化主義予算制度が国家経営と勘違いしている』という方向性に終始してきた結果であろう。
このように国家経営とは本来長期で1000年、中期で100年、短期5〜10年を見据えながら物事を決めて行く必要があるものなのに、『この1年どうやって税金を吐き出していこうか』という単年収支の手当てだけを行っていくものに成り下がってしまった。
安全保障、国際協調を視野に入れながら国土国民を守る、という前提要件すら危うい。
サウジアラビア、オーストラリア、ブラジルやロシアのように資源を持つ国でない日本は自分達の国土の下に眠っている資源を掘り起こして右から左に動かして経済が成立する国ではない。
だからこそ、私達は知恵を絞り、『働く』という行為に一生をささげ、国土国民を自らの手で守り育んでいかなければならない。
国家は、国民に衣食住・医療の最低保障をすべきである。
その為に日本国土と海岸線は、考え方次第では資源の宝庫である。
中期100年で国際社会を見渡すと、食糧難や水資源難が考えられる。
農産物200%の自給率、水産加工品の育成、林業と加工品の育成には、効率追求経営から脱皮し、国家存亡の最低の確保をするという哲学がいる。
現代の思想は、国民の安全・安心・安定の思想に大きく反する。
知恵を絞り、自らの知恵に従って努力して活きていける人間は幸せであるし、生甲斐を感じ、充実した生き方こそ「日本人の魂」であると私はそう考える。
このような自由は、いまや中小企業の経営者諸氏にしか許されていない特権なのかもしれない。
行き詰った日本社会に夢を持たせ、力づけて行く知恵、方策を私は、45年の経験から、現場の知恵として沢山蓄えさせて頂いた。
日本に勇気と元気を与えられる経営者諸氏とともに私どもはこの日本のお役に立っていきたいと考えている。
未来のために過去がある。
過去が重荷となっている経営者の方がおられれば、その荷を解いて明日の飛躍の糧にして頂きたい。
私どもと共に立ち上がり、共に飛躍し微笑みの止まらない日本を作って頂きたい。
私は心よりそう願っている。
富士経営グループ 代表 崎田松男